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ARUNがお客様に提供する価値は何か

· arun story

少々おおげさで真面目なタイトルになってしまったけど、今日の日中に農園の管理作業をしながら頭に湧いてくるとても大切なことがらを、忘れないようにブログにしとこうと思う。

私は、アルンがお客様に提供できる価値は、おおきく4つあると思っている。

1つ目。アルンはレストランなので、もちろんおいしい料理を適切なタイミングと見合った料金でお客様に提供することが何より大事なミッションだと考えている。タイ料理というジャンルを扱っているので、一般的な日本的献立とは違う、エスニック的要素の強いメニューを、食べやすく調理して提供することが必須である。さらに、食事の提供をつうじてタイ料理の魅力とタイの文化を伝えることも私たちの大切な役割だと考えている。

2つめは、入店から食事が済んで店を出るまで、もっと言うなら、アルンの敷地を出て道路に出るまでの間のゲストに対する良質なサービスの提供である。

提供するサービスとは、席への案内、メニューの紹介、オーダー取り、給仕と配膳、そして食べ終わった後の後片付けなど、一連のプロセスを指す。ゲストは日本人だけではないので、必要に応じて多言語での対応も必要になる。ひとつひとつをできるだけ丁寧に、必要十分な範囲で行わなければならないと考えている。

「良質」を定義するのは意外にむずかしい。

店側がいかに良質だと思って動作しても、ゲストがそれを心地よいと感じていなければ、ひとりよがりの勘違いしたサービスということになってしまう。目指すべきは、かゆいところに手が届くような、或いは、さりげなくかつ奥ゆかしくて必要十分な役務の提供ということか。

これが本当にむずかしい。

そして、3つ目。これこそ、石垣島内ではじめて許可を得た農家レストランとしての面目躍如たるところなんだけれど、この場所の立地が生み出す価値である。アルンは、中心市街地からわずか10分ほどの場所にあるにもかかわらず、周囲を森林に囲まれ、かつその土地だけが高台になっていることから、周りの世界から隔絶された、閑静で、石垣島らしい海や山への眺めが良く、自然を身近に感じ、生物の営みを見学することができる特異なロケーションである。さらに、熱帯果樹やハーブなどの作目の栽培風景は豊かな土地の恵みを連想させるし、周辺に生えるバナナ木やパパイヤのある風景が醸し出す南国情緒やハイビスカスやブーゲンビレアなどの色鮮やかな花や果実をつける前のグァバやパッションフルーツの花の可憐な様子は、普段コンクリートに囲まれた生活をしている立場の人々からしたらとても貴重で有難い瞬間ではないだろうか。さらに、そのような風景が、まばゆいばかりの青空や海原、連なる山並みという背景の中に置かれたとき、石垣島にいるという非日常な現実を否が応でも知らされ、忘れがたい情景として脳の奥の方に刻まれるのかも知れない。

食事の前後で農園内を散歩する人が少なくない。だから、そのような人々が見て、感じて、体験するモノや場所に関しては、異日常や非日常を演出できるような空間づくりが必要だと思う。

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最後、4つ目の価値とは、今回レストランのために古い建物をフルリノベーションして建築した建物である。店舗デザインは、三浦丈典さん率いる設計事務所スターパイロッツに依頼した。メインデザイナーは小薗江とも子さんが担当。もともと農業用施設として存在していた平屋建ての鉄筋コンクリート壁構造の建物を、小薗江さんと三浦さんが、石垣島で初の農家レストランにふさわしい店舗としてリデザインしてくれたのである。余計なものは置かない、建物内外は土や自然を感じられる優しい素材や色を使用して仕上げにも相当こだわった。オーナーから見た最もアピールしたい特徴は、室内をおおらかに仕切るために設けられた2枚のアーチ状の壁である。ご来店の際には、ぜひ見ていただきたい部分でもある。三浦さんは、ホームページにある建築作品を紹介するworksの中でアルンのことも紹介いただいている。とても、ありがたいことだ。

※設計事務所スターパイロッツのアルンの建物の紹介はここからご覧いただけます。

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以上の4つが、私がアルンのオーナーとして、日頃からゲストに対して提供すべきだと考える、とても大切な要素である。